新型コロナウィルス 日本と東京都の検査数は少ないのか?

日本政府から公表されている新型コロナウィルス(COVID-19)に関し、各国メディアから疑問が呈されています。シカゴ大学の山口氏も東京新聞からのインタビューで日本の増加率が他国と比べて極端に低い理由を「検査数を絞ったことで感染者を把握できていないからで、この結果(水面下の)感染を拡大させた」と指摘しています。

では、日本の検査数は他国と比較してどの程度少ないのでしょうか。

英国、米国は検査に消極的だったが感染拡大に伴い増加

f:id:yuki-suzuki:20200413133632p:plain
総感染者数に対する1日当たり検査数

このグラフ*1は、総感染者数に対する1日当たり検査数*2を表しています。日本と東京と比較するために、当初から検査に積極的だった韓国と台湾、消極的と言われた米国と英国を選びました。このグラフから読み取れる各国のポイントとしては、以下の点が挙げられます。

  • 台湾は最初から積極的に検査を行い、現在は新規感染者がほとんど出ていない中で1日1000件以上の検査を行っている
  • 韓国は積極的に検査を行い、それに伴い判明した感染者数も増加。現在は感染者の増加は落ち着き、1日当たり検査数も1万件弱。
  • 英国は当初検査を多く行っていたが、感染者が増加するにつれ、ペースを抑えた
  • 米国は検査に消極的だったが、感染者増に伴い検査数を増やし、現在は1日当たり10万件以上。
  • 日本は総感染者に合わせて少しずつ検査数を増やした。軌跡は米国に類似している(ペースは遅い)
  • 東京都は現在に至るまで消極的

これを見ても、検査に消極的と言われている米国・英国でさえも感染者増に伴い検査数増を余儀なくされたことが伺えます。

東京は検査数が少ない上、陽性率が高く安定しない

f:id:yuki-suzuki:20200413134316p:plain
1日当たり検査数と陽性率
*3

さて、もう一つ見たい指標が「陽性率」です。この数字が高いほど、よりコロナウィルス感染の疑いが強い患者を中心に検査をしていると見ることが出来ます。例えば、韓国と台湾を見てみますと、陽性率はコンスタントに5%以下となっています。この2か国は感染者の増加が落ち着いていますが、陽性率が低いことからもその実態が把握が出来ていると思われます。

一方、英国と米国は検査数を増やしたことによって陽性率も上がりました。特に英国は陽性率40%以上になっているのは気になります。これは、検査に消極的だった間に潜在的感染が拡大したからでしょうか。 両国とも感染者数は増加し続けていますが、検査数を増やしたことにより感染状況の実態を把握出来るようになったと思われます。

翻って日本を見てみると、現在1日当たり検査数4000件で陽性率約10%です。数字としては他国と比較して低くも高くもないという印象ですが、全体的にばらつきがあるのが気になります。推移をより確実に把握するためにも、イギリスと同程度の1日1万件(人口比を考慮するとその2倍程度)は目指すべきでしょう。

また、東京都はかなり不安定な測定だと言わざるを得ません。検査数が少ない上に陽性率が高く、しかもばらつきも大きいです。

こう見ますと、日本全体としての検査数は少ないですが陽性率は低くなっており、政府が目指す2万件まで増やしていくことで全体的な実態がつかめるようになると思われます。東京都は現状をつかめる検査数をしているとは到底言えず、すぐに増やすべきと思います。

*1:総感染者数45人以上の時点から載せています

*2:過去7日間の平均

*3:1日当たり検査数(過去7日間の平均)が100件以上から載せています